依頼品とその鑑定書をまとめました。


灰色ヤタガラスさんの依頼品

 

■ウミガメの甲より1年の考
https://www.cindythink.com/puzzle/show/2356
■かなり以前からネタをこねくり回していた問題で、個人的には、出来にはそこそこ満足しています。
しかし、これでは結局、単純な言葉遊びの域を出ておらず、ただのなぞなぞみたいなもので、十分な納得感は得られないようです。もっと現実に結び付けなければならなかったのでしょうか。そのためには、どうすれば良かったのでしょう?
他にも何か気になる点がありましたら、どうぞよろしくお願いします。

さるぼぼの鑑定書

 

もちろん私見ですが、単純な言葉遊びでもなぞなぞでも暗号パズルでも納得感は出せると思います。

私にとって「納得感」がある問題とは解決した後で主に、

・中学生くらいの年齢でも理解可能であった。

・問題文と解説のつじつまが合っていた。

・問題文がフェアであった。

・問題文が整っていた。

・別解がごく少数であると思われた。

・幾つかの別解があっても、解説に抜きん出た説得力があった。

などが確認出来るものだと考えます。

(*納得感のみに焦点を絞って述べています)

 

<シンプルな表現の危険性>

〜多くの解釈が生まれやすく別解が増える〜

 

当問題では【1年まで】という語句の解釈を絞ることが求められています。

語句の意味をボカし、つかみづらくしたのは作者の狙いだと思いますが、この作り方は少々リスキーでもあります。

膨大な"解釈"の中から唯一のものを絞っていく作業をするのは、ちょっと面倒に感じる参加者もいるでしょう。故に表現をボカせばチャーム(参加意欲)は減少していきます。

例えば「ゆく日くる日」の【12月】というのは、すぐに意味がつかめるものです。

つかめるからこそ、【翌日】という語句が【12月】の持つ意味と矛盾し、不協和音を奏で、問題文に魅力を産みつけます。

そして、初見でつかんでいたはずの意味は最終的にはバラバラに崩壊してしまいます。

そこに参加者はクラクラするような快感を覚えます。そう、Mなんですね。

 

冗談はさておき【1年まで】という書き方の持つ危険性はまだあります。

「1年まで」という語句が持つ数ある解釈の中から、例えば「誕生から小学1年生まで」というものがあったとして、「1年まで引く1年」は「未就学」などが浮かびます。

「誕生から1年まで」であれば「誕生前」「出産前」etc.

平成元年、社会人1年目、Cindy1周年、「1年」という語句の解釈は多くあります。

多くの解釈の中から、あえて「紀元前/後」を選ばなければならない根拠は問題文中に示されていません。

問題文をシンプルにする場合は、シンプルだからこそ、このような語句解釈の多様性を念頭に置いて作問しないと別解過多により納得感が損なわれるでしょう。

 

<負の世界を考える>

この問題のオモシロ要素は、

「1年まで引く1年」という文の持つ響きや語呂の良さ、シンメトリックな見た目、超現実性のある雰囲気、そして何と言っても、盲点になりやすい、紀元後を正とした場合の『負の世界』へ向けるまなざしです。

この問題はこの問題文、このバランスでないと良さが発揮できず、足し引きが困難です。

ヤタさんの問題の多くは問題文の響きやシュールな雰囲気のバランスが絶妙で、芸術的です。おそらく「良い響きの問題文を作る」ことを無意識に行っているのだと思います。

これらの特徴は得難い個性であり、失って欲しくないと個人的に思っています。

 

無個性の権化である私ですがヤタさんの参考になるなら、と『負の世界』を考えながら作ってみました。

 

Q.

とある商業施設が巨大怪獣に踏み潰されたが、施設内にいた従業員と客の50%以上は無傷だったという。

一体なぜ?

A.

地下6階から地上4階までの建物だったから。

 

Q.

2017年の12月31日には低い男の声が

2018年の1月1日に高いのはなぜ?

A.

紀元前の話だから。2018年→2017年の時系列になる。

2018年の1月1日と2017年の12月31日の間には約2年ほどの隔たりがあり、その間に声変わりした少年の話。

 

これらはまだ、ウミガメというよりもなぞなぞです。

子ウミガメとでも申しましょうか。

ただ、"商業施設"や、"2018年"というのは意味を容易につかめる語句の例ではあります。

 

まとめ

問題文に使用する語句は容易に意味のつかめるものにする。

(参加者が最初につかむ語句の意味がミスリードだとさらに良いのだが、語句を用いてミスリードさせることを"一番"の優先事項にしないほうが良い)

問題文が意味不明であればあるほど暗号やパズルに近くなり、納得感を欲すれば作問の難易度は上がります。

「なぜ、このような表現でなければならないのか」という理由付けが難しくなってくるからです。

色々ある考え方のうちの一つとして参考になさってください。

これからもヤタさんらしい出題をお待ちしております。

azさんの鑑定書

 

灰色ヤタガラスさん、はじめまして(?)。柿の種一粒で買収された鑑定士のazです。話半分程度に読んでいただければ幸いです。
さて、では問題を見ていきましょう。 率直に言って、アイデアの面白さはあるものの、おっしゃるように"なぞなぞ"の域を出ていないという印象です。問題の所在を明らかにして行きましょう。
・言葉の解釈の必然性
これは、さるぼぼさんが既に指摘されていることそのままなので詳細は省きます。端的に言うと、いまひとつ意味の掴みづらい「1年まで」という言葉を、さらにあまり一般的な考え方とは言えない「紀元1年まで」という意味に解釈しないといけない、そこに難しさがあった、ということです。
・別解と解の制限
私がこの問題を見たとき、最初の一行を読んだ時点で答えは「まで」だと思いました。“1年まで”-“1年”=“まで”。解の文字が「漢字3文字」と制限されているので、この答えが正しくないことは分かりました。ただ、漢字で考えなくても自然に思い付く答えがあるため、漢字3文字という制限は窮屈な別解潰しに感じてしまいました。実際のところそういう意図(別解潰し)だったのかどうかはわかりませんが、少なくともそう感じさせてしまった時点で、チャームとしてはマイナスになってしまいます。
文字数・文字種を制限して解の唯一性を保つ、という手法はよく使われるものですし、実際に有効な手法です。ただし、この手法が真に価値を発揮するのは「その文字数・文字種でしか答えを表せない」「その文字数・文字種であることに意味がある」とき、つまり文字の制限を設けることに必然性があるときです。手前味噌で恐縮ですが、ラテシンでの拙作『おくりもの』にキュアピースさんが寄せてくださった選評を参考にしてみてください(http://sui-hei.net/mvs/show/26035 )。
今回の問題の場合、"紀元前"という答えありきでそこに強引に合わせに行ったような印象を受けました。先述の別解や、言葉の解釈に関する問題もあって、いろいろ考えられるところに無理やり枠を嵌められた感があり、「だから漢字3文字なのか!」という驚きも乏しいと言わざるを得ません。最初に述べた"なぞなぞの域を出ていない"というのも原因はここにあって、解答自体は納得できるものでも、「その理屈なら他にもいろいろ言えるのでは」と思えてしまう(「パンはパンでも食べられないパンは?」の答えが「フライパン」なら、"パン"とつく食べられないものなら何でもいいということになります)。別解を潰すというのは、可能性をメタ的に制限することではなく、問題を構成する要素の必然性を高めていく、ということなのです。
さて、上記ふたつの問題点、それぞれ別々の事柄のように見えますが、実は根っこの部分で繋がっています。ふたつとも原因は同じで、それは「解答からの逆算のみで問題文を作ってしまっている」というものです(……と言っても、私はこの問題の作問過程を実際に見たわけではないので、ひょっとすると頓珍漢なことを書いているのかもしれませんが……まぁそのときは笑ってくださいということで)。
もちろん、大抵の場合、問題は解説やトリックのアイデアから先に作られるとは思いますし、それ自体はごく自然なことです。その答えが成立するよう逆算して問題文を作っていくというのも、普通の手法だと思います。ですが、ここで注意しないといけないのは、作者は「用意した解答」という先入観を持ってしまっている、ということです。 極端な例ですが、世の中に氾濫する"暗号パズル"には、こんな解答を平然と載せてるものがあります。
「まずは暗号文をローマ字に変換してみよう! そして1文字飛ばしで読んでいくと……」
いやいや、ちょっと待てよと。何故ローマ字にしないといけないのか。1文字飛ばしの根拠は何なのか。どうすればその考えに至れるのか。 この手のパズルは結局のところ、「そうすれば意味の通じる文になるから」ということしか根拠がない。解答の文章を先に作って、それを勝手なルールで変換していくから、こういうことが起きてしまいます。
繰り返しになりますが、これは極端な例です。しかし、似たようなことはウミガメ(今回は扉ですが、それも含め)でも起こり得ます。自分の想定した解答ありきで問題文を見てしまうから、自然に思い付く別解に気づけない。参加者がどういう考え方をするか、あるいはしないか、想像できない。答えからの逆算だけで問題文を作ることの、これが弊害です。
それを防ぐにはどうすれば良いのか。月並みな言い方ですが、「参加者目線で考える」、これしかありません。逆算でもいいので、まずは問題文を作ってみる。それを、なるべく答えを念頭に置かず、参加者の目線で眺めてみる。文章の内容が頭に入ってくるか、質問してみたいと思うところはあるか、すぐ思い付く別解はないか。完全に客観的な評価をすることは無理でも、なるべくそれができるよう努力する。その心がけひとつで、見えてくるものはたくさんあります。今回の問題についても、言葉の意味の掴みづらさ、制限を無視すると簡単に思い付く別解、こういうところは参加者目線での評価ができればまだまだ工夫の余地があると気づけたのではないか、と思います。
そして、もう一歩お題目じみたことに踏み込んでみます。
「問題は常に"解かれるため"に作るべき」
これは、一定以上の技術を持った出題者が陥りがちなことなのですが、とにかく「スナイプされないこと」「ミスリードすること」を過剰に意識して問題を作ってしまう。結果、描写が作為的過ぎて納得感を欠いたり、不思議というより意味が分かりづらい問題になってしまったりする。もちろん、漫然と質問を重ねるだけで解けるような問題は参加者・出題者ともに張り合いはないわけで、「簡単に解かれない工夫」は必要です。そのためには当然、ミスリードを狙ったり情報を省いたり、そういうことをやっていく必要も出てきます。しかし、「簡単には解かれない」ようにしようとすることは、一歩間違えると「解けないようにする」ことになってしまいかねません。この問題はそこまでは行っていないものの、その懸念を感じさせるものではありました。
漠然とした、説教臭い話ですが、意外と忘れがちなことです。是非、今後の参考にしていただければと思います。
さて、観念的な話はここまでにして、具体的な改善案を考えてみましょう。
……と言いたいところですが、申し訳ない、私はこういう問題を作るのはあまりうまくないので、きちんと形になったものは提案できそうにありません。なので、思いつき程度のアイデアしか提示できませんが、何かの参考になれば。
この問題を通して灰色ヤタガラスさんが何をやりたかったのか、それにもよるとは思いますが、とりあえず、答えが"紀元前"になる問題、というので考えてみます。私は"紀元前"というものの持つ性質、その面白さに注目してみてはどうかと思いました。紀元2年と紀元3年では後者の方が未来ですが、紀元前だと逆になります。こうした性質を活かす方向性があるのではないでしょうか。例えば、「49年と50年」の間は1年しか経っていませんが、「紀元前49年から(紀元)50年」だと一気に99年間になります(計算合ってるよね?w)。また、ある偉人の生涯が「30年-50年」とするとすごく短命に見えますが、これも同じように"紀元前"を前に加えると80年間、時代を考えると相当の長生きということになります。
と、こういうところに着目してやると、なんだか「足りない言葉を漢字3文字で答えよ」みたいなのが作れるんじゃないかという気がしますね。気のせいかもしれませんが。
具体的な案を出せなくて申し訳ないですが、私は「他人の意見を取り入れて問題の別の形を考えること」も出題者の楽しみのひとつだと思っているので、その辺りも理解していただけると助かります。決して思い付かなかっただけではないんです。思い付いていたというわけでもないんですが。
長々と書いてきましたが、ポイントをまとめると、「参加者目線で考える」ということになります。すごく漠然としているようですが、実際のところ、出題者が「うまく騙せた!」と喜んでいても、参加者からすれば「あんな書き方で騙すも何もない」と感じている、というケースは多々あります。私自身も経験があります。今回の問題について言えば、恐らく灰色ヤタガラスさんが思っている以上に、参加者から見て「分かりにくい」問題だったのではないでしょうか。出題者と参加者とでは、最初から持っている情報量が違います。それを念頭に置いて、問題文の調整をなさると良いでしょう。
以上で鑑定を終わります。参考になれば幸いです。

低空飛行便さんの鑑定書

 

灰色ヤタガラスさん、こんにちは。非常勤鑑定士の低空飛行便です。さるぼぼさん、azさんに引き続き、私も鑑定させていただきます。よろしくお願いします。
お二方の鑑定により、すでに「言葉の解釈の必然性」「別解つぶし」の点で課題が多くあり、納得感の高い問題にはなっていない……、というのは明らかになっているかと思います。
元の問題が持つオモシロ要素をできるだけ保ちつつ、これらの課題をクリアするのは、並大抵のことではないなと、私自身、正直頭を抱えております。
そんな中、ご参考までに以下の解決方法(と呼べなくもないもの)を提示しますね。


その1:「○○引く●●が△△のとき、1年まで引く1年は?」という問題文の構成にする。(考えるとっかかりとなるクルーを配置する)
「計算」例を複数個提示することにより、「計算」ルールを参加者にとって絞り込みやすくする狙いがあります。

問題:1=1, 2=2, 3=3, 4=5, 5=4, 6=?
答え:4(漢数字の画数を表している)


6=?だけではなんのこっちゃですが、他の例を示すことで推理しやすくする、というのはこの手のパズルの作問では割と基本テクニックではないでしょうか。
問題文をシンプルにしたい、一見するとパズルチックな不可解なものにしたい、というのであれば、こちらをおススメします。


その2:問題文に「ストーリー的なもの」を盛り込むことにより、情報を隠しすぎて意味不明な状況から、少なくとも状況が分かる問題文にすること。(問題文の味付け)


問題:
タイムマシン開発中のカメオ博士は、試作品のタイムマシンでA.D.1年までの正方向性時間旅行テストを終えたばかりだ。時間航路ログを確認するカメオ博士。「A.D.1年まで」。カメオ博士はタイムマシンの報告を確認のため復唱した後、続けて逆方向性テストを行うため、「マイナス1年」とタイムマシンに1年時間をさかのぼる指示を出した。しかしタイムマシンからの答えは「時間移動できません」。このタイムマシンは何億年昔にも未来にも移動可能で、時間移動に必要なエネルギーも十分足りている。なのになぜたった1年の移動ができないのだろう?


解説:
「時間座標解析……。『A.D.1年までマイナスA.D.1年』。こちらは『B.C.無限大からB.C.1年+A,D.1年-A.D.1年』と同等。結果、移動先タイムレンジは『B.C.無限大からB.C.1年』。こちらは『紀元前』と同等。結果が多すぎます。時間移動できません」
カメオ博士の報告復唱と新たな指示内容をまとめて1つの指示であると誤解してしまったタイムマシンのバグだった。カメオ博士は時間旅行テストをいったん取りやめ、指示入力インターフェースのデバッグに取り掛かった。


問題の本質部分は何も変わっていませんが、状況がわかる(参加しやすい、質問しやすい)問題になっているかと思います。ついでにいうと、タイムマシンの話にすることにより、Cindy1周年とか小学1年生のような別解は少なくとも潰せています。
より現実に結び付けたい(この例は非現実要素のあるものですが)というのであれば、こちらをおススメします。


上記に挙げた問題例には、おそらくツッコミどころがあるかと思いますが、あくまで問題改善のためのとっかかりとしてご利用ください。
そして、azさんもおっしゃっていたことですが、「解かれるべき問題」にするために、「参加者目線」を常に忘れないでいたいものですね。
こちらの鑑定が何かのお役に立てばうれしいです。


まとめ:
考えるとっかかりとなるクルーを配置する。もしくは、問題文をストーリー的なもので味付けすることで、状況がわかる問題にする。


灰色ヤタガラスさんより

 

さるぼぼさん、鑑定ありがとうございました。
おっしゃるとおり、納得感を大事にしようとしているはずなのに、実際にはどうもミスリードを狙いすぎていることが多い私です。表現をぼかしすぎて別解がたくさん考えられそうになることも、確かに多いです。この問題がまさにそれでした。
オモシロ要素を保ちつつも、チャームや納得感を減らすことはしないようにしたいものです……とても難しそうですが。
とても参考になりました。ありがとうございました。

 

azさん、はじめまして。大変手厳しいご意見をありがとうございます。
こんな粗悪な問題の鑑定の依頼などをしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。やはり私の頭には、ウミガメは少し荷が重いようです。少し頭を冷やしてきます。またご縁があればよろしくお願いします。

なんかネガティブなこと書いてしまいましたかね……。また頑張っていきます。
問題文が短すぎると別解も多くなりそうなので、少し長めの問題文にも挑戦してみたいと思います。ありがとうございました。


tomoさんの依頼品

 

■自意識過剰
https://www.cindythink.com/puzzle/show/2325
■最初に『朝顔が踏み荒らされる』→『戸締りするようになる』という叙述トリックを思いつきました。しかしそれだけでは謎が無いため、あれこれ苦心した結果このようになりました。もっとチャームある問題にできたと思うのですが…。このトリックを生かすためには、例えばどのような記述にすれば効果的だったのでしょうか。アドバイスお願いします

ムクさんの鑑定書

 

「グリーンカーテンを失ったため室内温度対策をとった」というストーリーは、程よい日常の謎で、骨子は問題ないと思います。


【良い点】
・アサガオというアイテム:

①なじみ深い植物のため様々な方向に想像が働く

②グリーンカーテンとしてゴーヤほど露骨でないが十分納得できる

 

【改善点】

  • 不審者対策というミスリードを意図した結果、問題文から謎がなくなっている
  • 温度対策として冷房が、またそのクルーとして「部屋の戸締り」という選択が最適か?
  • 蛇足:「部屋の扉」を玄関のものと誤認させたいなら、庭というクルーはやや不適切

【提案】
チャームはアイテム選びや名前のインパクト(謎と関係なくとも口ずさみたくなる、忘れられなくなるような)、風桶問題 (注)なら起と結の一目で分かるギャップ等によって生まれます。
※全てにチャームを盛り込もうとすると、くどい上に互いが相殺してしまうので、ポイントをよく吟味することをおすすめします

 

(注)風桶問題:「風が吹けば桶屋が儲かる」の小咄のとおり、「A→B→C→D」という一連のストーリーを基に「AなのでDになった。何故?」というように経緯を当てさせる、ウミガメ問題の形式の1つ。
今回は骨子を残した上で、ギャップでチャームを生む例を考えてみました。


<例1>
(問)

庭で育てていたアサガオが何者かに踏み荒らされたので、わりかしズボラだがアホではないはずのカメオはスッケスケのレースのカーテンを買いに行った。
……え?なぜ?

 

 

不審者ミスリードは残し、暑さ対策の方法だけ変えた例。
カーテンをちゃんと掛けていない、丸見えのご家庭は意外と多い
※遮熱遮光など様々な機能のカーテンがあるが、知識の度合いに個人差がありそうで、
不特定多数の参加者に合わせた納得感のある詳細設定が難しい。


<例2>
(問)

【羹に懲りて膾を吹く】
① カメオが庭で育てていたアサガオをうっかり枯らしてしまったため、
② 枯れたアサガオが取り除かれた更地には、多量の水が注がれ続けることになりました。
①から②に至るまでのカメオの思考過程を説明してください。

 

 

グリーンカーテンがなくなる→冷房使用→窓際の室外機から水が漏れるという流れ。
・問い掛け部分でカメオが意図的に水を注いだかのようにミスリードする。答えは「グリーンカーテンがなくなって暑いから冷房をかけようと考えた」であり②の事象はカメオの思考の外だがアンフェアではない。
・最も陳腐な解説案をタイトルにすることで、逆に可能性を下げておく(慣れた参加者にしか通じないが)。解説としては下の下なので、あえて本文で否定しておく必要はない(と思うが意見の分かれるところ)。
※真夏の室外機の排水量は1日あたり数10Lにもなるが、常識とはいえないのがややネック。気になるなら微調整を。


最初に浮かんだ発想はあくまで起点として、より謎を活かせるキャラの属性、場面やストーリー、クルーはないか、存分に転がしてみてください。
特に自らの体験に基づく日常の謎は実際の設定をそのまま使ってしまいがちですが、フィクションに転じて設定を変えることで、一段と魅力的な問題になることが多いです。
思わず二度見してしまう、脳が反射的に理由を考え始めてしまう問題にしたいものですね。


低空飛行便さんの鑑定書

 

まず、私なりに読み解いた、今回の問題の謎と真相は次の通りとなります。
謎:
『朝顔が踏み荒らされる』→『戸締りするようになる』の間にあるミッシングリンクは何か
真相:
グリーンカーテンという意外な遮光・遮熱方法がなくなったことにより、クーラーで涼を取る必要が出てきた
懸念点はtomoさん自身が感じておられた「謎がない」点(少なくとも「謎が感じられない」)、さるぼぼさんが指摘された「防犯目的」という当たり前の推論に至ってしまう点です。
ちなみに、グリーンカーテンという真相は、確かに普通のカーテンやすだれに比べればやや馴染み薄ですが、私自身は非常に納得のいく真相だと感じています。木陰は涼しいですしね。
さて、ここからどう改良するかです。
そのための方法として提案したいのが、tomoさんがこのインスピレーションを得たときに何が面白いと思ったのか、参加者に提供したい不思議な状況や驚きや納得感が何か、それらをまず明らかにすることです。
その上で、これらとは関係のない部分を大胆に変えていくことで、今までと違う着想を得ていくことです。結果、謎が感じられ、当たり前の推論に至らない記述になれば成功です。
例えば、グリーンカーテンというのが面白いと感じ、この部分が明らかになったとき参加者が驚いてくれるのでは、と思ったのなら、そこは変えるべきではありません。
逆に、『朝顔』という植物にこだわる必要はあるか、一見関係のないつながりとして『朝顔が踏み荒らされる』→『戸締りするようになる』以外にはないのか、考えてみても良いかもしれません。
私自身、上記のことを考えてみて、結果、次の考えに至りました。
・グリーンカーテンは活かす
・『朝顔』にはこだわらない
・『踏み荒らされる』にはこだわらない。植物がそこからいなくなればOK
「(何かが起こる)→『植物がそこからいなくなる』→『遮光・遮熱効果がなくなる』→『クーラーをつけるため戸締りするようになる』」の流れを作るため、あれこれ発想したりリサーチしたりしてみます。
そして、『朝顔』→『家庭菜園の野菜』、『踏み荒らされる』→『収穫』と変えた上で、考えたみたのが次の問題と解説です。


問題:
お盆休み、孫のカメタロウ、カメジロウ、カメサブロウ、カメシロウが、田舎にあるカメオおじいさんの家にやってきた。
育ち盛りの孫たちにあれこれごちそうをしてやった結果、カメオおじいさんは家の戸締りを厳重にするようになった。
いったいどういうことなのだろうか?
解説:
家庭菜園で育てているゴーヤーやらキュウリやらその他たくさんの野菜を収穫し、料理して孫たちにごちそうした結果、食欲旺盛な孫たちがすべて平らげてしまった。
これらの野菜は夏の暑さを防ぐグリーンカーテンとしても使っていたため、結果、グリーンカーテンを失ったカメオおじいさんは、夏の暑さをしのぐために、クーラーをつけ、冷気が逃げないよう戸締りを厳重にするようになった。


いかがでしょうか? 一見つながりのなさそうな事実がつながっている不思議な状況になっているのではと思います。一例として参考にしてみてくださいね。
tomoさんならどのように変えていくのか、もし何か思いついたら教えていただけるとうれしいです。


まとめ:
面白いと思ったポイント、提供したい驚きや納得感を明らかにする。それ以外の部分をどんどん変えて新しい着想を得る。
今回の鑑定では、ポイントはグリーンカーテン、変えるべきは植物の種類やグリーンカーテンがなくなった経緯(あくまで一例です)。


さるぼぼの鑑定書

 

まずこの問題の核となっている要素を抽出すると
・遮光ができず、部屋の窓から日光が部屋に入り込む
・部屋の温度が上がったためクーラーをつける
・使用電気量節約のためにドアを閉める
となります。
#1
グリーンカーテンそのものもそうですし、それが朝顔(朝顔というのは良いクルーだと思います)で構成される場合があるというのはやや馴染み薄なので納得感獲得には不利だと思います。
ここはカーテンを失う(無い)、などとするか、すだれ・のれん・植木などメジャーな日除けに置き換えた方が良いと思います。
#2
猫がグリーンカーテンを踏み荒らし、その結果、室内体感温度がクーラーをつけねば暮らしにくくなるほどに上がった、という状況設定は苦しいところです。
#1、2を踏まえ、部屋に直射日光を大量に入れるためには、窓据付のカーテンが無くなるという状況を作り出すのがベターなように思われます。
どこの家庭にもたいてい窓にカーテンは付いており仮にグリーンカーテンが踏み荒らされても、すだれやのれんが盗まれても、(同一とまでは言いませんが)カーテンと網戸を用いれば近い遮光通風効果が得られるはずだからです。
以上を踏まえ、最初に挙げた核となる要素に従って問題を構成してみます。


例1
倹約に倹約を重ねついに念願のマイホームを購入。
めでたく新居に引っ越したばかりのカメオ君。
自分の書斎の窓やドアがしっかり閉まっているかどうか確認したのは、
引っ越しをする前にうっかり買い忘れたものがあったからだという。
それは一体何だろう?


もともと日除けを使っていたのだから、それが使用できないとなればクーラーを使うよりもまず、日除けの代用品(新聞紙やブルーシート)を探す方が自然な展開になるかなというのはありますが、今回は追求しないことにします。この「代用」も突き詰めていくと面白い問題ができそうですね。
では、tomoさんがご質問されたチャームを深めるための記述について考えてみます。
ここでは設定に目をつむり、『朝顔が踏み荒らされる』→『戸締りするようになる』という最初のインスピレーションを活かせるようにしてみます。
単に『大事に育てていた庭の朝顔が踏み荒らされたので、カメオ君は戸締りを確認するようになった』という記述にすると、不審者の存在があり防犯のために戸締りをしているという何の水平思考性もない解(いわば当たり前の出来事)が思い浮かぶため、tomoさんが懸念された通り文章に矛盾や不可解性がすっかりなくなってしまいます。
そこで、その、記述から生まれようと頭を半分出している、「当たり前」という名の大きな説得力を持つ解があることを逆手に取り問題文中で先手を打って否定してしまうのです。
もちろんこの解決方法が全てではないのですが、謎を生み出しチャームを上げ、別解を潰す目的で多用される方法のひとつです。
ここ、テストに出るところです!


例2
カメオ君は、庭で大切に育てていたアサガオが何者かに踏み荒らされていたので、自分の部屋の扉がちゃんと閉まっているか確認するようになりました。
【防犯目的でも災害対策でもない】とすると、一体なぜでしょう?


注意したいのは、作問過程で、最初のインスピレーションの発展に行き詰まったと判断した場合は作問を一旦保留してそのアイデアをストックしておくのも一つの手だということです。
時間をおくとその種が新たなアイデアとして結実することがあります。
参考にしてみてください。


tomoさんより

 

低空飛行便さん、鑑定ありがとうございました。ゴーヤというアイテムも一時は考えたのですが、アサガオの方が問題にし易そうだと思い、諦めたのでした。最初の思い付きからどの部分を変えて、どの部分を残すべきか、非常にセンスが問われるのですね

さるぼぼさん、鑑定ありがとうございます。ご指摘の通り、最初に思いついた『グリーンカーテン』を用いたミスリードにこだわりすぎていたように思います。最初のアイディアから視野を広げ、新たなトリック、新たな表現を模索することも重要なのですね


スクエアさんの依頼品

■『背伸び』
https://www.cindythink.com/puzzle/show/1579


<水平思考要素>
埋まった身長差20cmは,「カメコが背伸びでつま先立ちをした」のでも「カメオが屈んだ」のでもなく,「2人が立つ地面の高さが違う」から。
<ポイント>
私はトリック・チャームより納得感を優先で作問することが多いです。
さて,この問題において「身長差20cm」および「目線の高さが同じになった時に気づいた」は,クルーにはなりえても,問題を成立させる上で必須ではありません。私は,問題を解決に向かわせるための導線もしっかりしており,かつ最も納得感のある状況設定がこの形だと思ったので,この問題文にしましたが,問題文としての謎・チャームは弱いと思います。(問題文がどう見ても「不正当て」ですし,もっとシンプルな別解がありそう)
それらを踏まえて「納得感を得る上で問題文は適当だったか」「(トリックなしで)よりチャームを上げるような問題文にできるか」あたりを聞きたいです。
批判はOKですが,「解説をもっとシンプルにすべき」という意見は受け入れません。
総評などもあるとより嬉しいです。鑑定よろしくお願いします。

さるぼぼの鑑定書

【気になった点】
(1)階段蹴上げ1段分=約20cm、これは一般的な共通認識として通用するのか?
【考察】
(1)階段の蹴上げ寸法はイメージしづらいので、数字が正しいものだとしても、納得感をより高めるという目標からすればこの設定はネック。
【問題文例1】
マリオとルイジは同じ身長同じ体格の双子である。
二人が仲良く小学校から帰っている時のこと。
マリオのいる場所まであと1歩という所にルイジが迫ってきていることを知ったとたん、
マリオはルイジのことを卑怯者だと思った。
一体どういう状況だろうか?


設定を道路にした例。

 

次に、設定を捨てず、同じ解説になるようチャームを意識して作ってみました。


【問題文例2】
(カメオは果物の名前をゆっくり言いすぎたのではないだろうか?)
そうカメコが推理した根拠は、
自分より20cm身長の高いカメオと目線の高さが同じになったからだという。
一体どういうことだろう?

 


「果物」と「身長」。関連の乖離でチャームを作りました。
「グ・リ・コ」「パ・イ・ナ・ッ・プ・ル」「チ・ョ・コ・レ・ー・ト」
何だか不思議で面白く、この部分をFAに設定できるぐらい魅力があります。
問題文はカメコの思考ということにすれば、解説と同じ不正方法でなくても可。
解説には不正の方法を具体的に示した方が(仮に負けるための不正?でも)スッキリ感や納得感は増すと思います。
【総評】
全体として特に悪い点が見当たらない。誘導がフェアで丁寧なので安心して参加できる。
映画のワンシーンような魅力的な解説が少しぼかした演出にしてあるのは賛否あるかも。私は勿体ないように感じる。

 

 


スクエアさんより

 

さるぼぼさん鑑定ありがとうございました!
「蹴上げの寸法がイメージしづらい」は,実際に私も出題前に調べましたし,全くその通りだと思いました。
問題文例2の「果物の名前をゆっくり言う」はとても面白いです。地の文でなくカメコの思考にすることで,個人的にビミョーだった「不正」という単語が消えているのも,美しいですし私にはない発想だと思いました。
解説の書き方は完全に私の趣味です。「評価」数に応じて金銭等が手に入るようになるのなら,もっと分かりやすい解説になるかもしれません。


霜ばしらさんの依頼品

■作者の気持ちを答えなさい。
https://www.cindythink.com/puzzle/show/2094

■解いてほしい部分を上手く提示できなかったと後悔していた問題をリメイクしたものです。ネタ自体は気に入っているのですが、心情が絡む真相ですので、想像し難くかったり納得感を得られないのではないかという懸念があります。できるだけ想像しやすくなるように工夫したつもりですが、今までやった事のない形式に挑戦したので、ジャンルもこれで良かったのかよくわかりません。より良い問題が作れるようアドバイスいただけたら嬉しいです。

甘木さんの鑑定書

①と②の回答を探ることと③の回答を導き出すこと、その関連性を考えるためにやや難易度が高くなってしまったかもですねー。形式上、①と②をあまり注目せずにスナイプ狙いをするか、逆に①と②をどうにか当てて答えを絞るかが参加者によって分かれるのも進行などでなかなか難しいところですね。


さるぼぼの鑑定書

【お聞きの点について】
・心情面での納得感
何度も会いたい(FA条件の一)、は私自身も恥ずかしながら身に覚えがあり(言わせないで///)、納得感は高い。解説「でも、毎日チョコを買~甘い気持ちにさせました。」はよく知られた、心理学の単純接触効果で裏づけ出来る。
・出題形式の是非
後述します。
【気になるところ】
(1)「チョコを作った人」のことを『作者』と呼ぶのは自然なのか?
(2)問題文2行目「すべて」が親切すぎる。
(3)問題文が長期戦の構えなのに比べ、誘導はやや性急でチグハグ感。
【考察】
(1)算数のテスト問題を模し、その作成者の心情を推理させる問いかけのギミックを成立させるためだと考えられるが『作者』という言い回しがこの問題全体で最もモヤモヤする部分(慣用としては主に芸術作品の作り手を示す)。あえてテスト問題に見せかける必要性はあるだろうか?モヤモヤを上回る理由が欲しいところ。
(2)「ハルカちゃんの買ったチョコをアキラくんが食べました。」ぐらいでも良い気がする。
(3)作中の問い123の解が主題の大きなヒントになっているためこれを解いていく流れ。#2#3あたりは質問数が伸びるだろう。だが出題者の想定質問数は通常のウミガメのスープぐらいを設定しているような印象を誘導からは受ける。であれば(1)(3)より、問題文も誘導もウミガメ形式の方がスッキリすると思われる。
ただしFA要素を自然に問題文で回収するという点に重きを置けば、この形式以上のものが見つからない。
【総評】
多少強引感はあるものの特別悪い点が見当たらない。クルーが絶妙。#3の問題文化は難しいが「手元」は見事なワードチョイス。納得感は充分あり率直に面白い。
【問題文例】
(FA要素を用いたウミガメ問題を幾つか考えましたが、この問題文以上のものは私には作れませんでした。ウミガメ形式だとスッキリしすぎるのかもしれません。ひとまずの結論として、ジャンル選択は新形式で良かったのだと思います。)


霜ばしらさんより

 

甘木さん、鑑定ありがとうございます!
最終的な解答が想像しにくい答えだとしたら難易度が高くなるのではないかという懸念がありましたので、①〜③は段階的に答えを明かし、逆算してもらう事で隠れた要素に着目してもらうという流れにして、必要な要素を揃えるところまでは単純化したら進行しやすかったです。

 

さるぼぼさん、丁寧に鑑定していただきありがとうございました!
一番気になっていた納得感は問題なかったようで安心しました。
「作者」という言い回しなど、設定によせようとして目的を見失っていたみたいです。問題にとって本当に必要な要素なのか、不自然ではないかなど、もっときちんと考えるよう心がけます。
算数の問題はクルーであり、答え自体よりその答えになる理由に注目して欲しかったので、ぐだぐだにならないよう答えから逆算してもらう方法をとりました。
おっしゃる通りウミガメ的な進行でしたので、新形式よりウミガメのスープのジャンルの方が良かったかもしれません。
自分ではなかなか客観的に見る事ができないので、とても参考になりました!
いただいたご意見を次に活かせるようがんばります。


ダニーさんの依頼品

■輪の次
https://www.cindythink.com/puzzle/show/688

■二行目が示す本来の意味がわかればほぼ正解なので20の扉に近い作りかと思います。
個人的にはだまし絵を文字化したような問題文にできたので気に入っているのですが。
客観的なご意見を頂きたく思います。
返事は急ぎませんので何卒よろしくお願いします。

さるぼぼの鑑定書

【好きなところ】
日常の些細な不思議(可笑しみ)に注目して、それをFA条件に据えたところ。
【気になるところ】
(1)重要な叙述部分、『幅の狭い~混在している』という状況の絵が描きにくいため、参加者をミスリードに上手く誘えない。
(2)この問題文に限って言えば「階段」というワードは強すぎる。
(3)("焦点ずらし"の問いかけをしているが)ほぼワントリックなので味わいに深さが足りない。
(4)タイトルが親切すぎる。
【では、どうすればいい?】
(1)騙す方の絵も頭に描きやすくする。なるべく平易な語句を用いる。
(2)今回、「階段」という言葉は使用を避ける。
(3)謎要素を加える。
(4)心を鬼にする。
【FA要素を使った問題文の例】
「タイトル:ムーンウォーク」
父親がオシャレに気を遣ったので、
自分の部屋に行く時しばしば右足のかかとが浮くようになった離小島君。
一体どういうことだろう?

 

 

 


ダニーさんより

 

さるぼぼさん、丁寧な鑑定、ありがとうございました!
最近特に自分のトリックを客観的に見るのが難しく、推敲しても実際に出題するまでトリックの難度がわからないことが多いです。なので瞬殺が多い…
今回の問題は文章から状況が具体的に映像化しづらいものになってしまっていたということも、トリックが薄かったことも、タイトルが親切すぎたことも、この客観性不足が招いたことかなあと自己分析しています。
今回の鑑定を糧にさせていただき、今後も精進して参りますので暖かい目で見守ってやってください。
あらためて鑑定ありがとうございました!


ZENOさんの依頼品

■【鰹ますか?リサイクル】空からこぼれたStory
https://www.cindythink.com/puzzle/show/1369

■問題文に関してはリサイクルなので、その範囲内で説得力のあるシチュエーションを構築したつもりです。
個人的に自信があったのですが、全くウケませんでした!(泣)
解説の納得感であるとか、この解説にするなら問題文を改変してオマージュにすべきだったとか、そもそもこの解説つまんねえとか、容赦ないご意見を頂きたいです!
あと個人的には、特定の審査員のかた数人に負担を掛けるのではなく、みんなで問題について忌憚なく話し合える場所が出来ればもっと良いなあと思っています!

人参さんの鑑定書

「解説が問題文の妥当な解釈を与えていること」は問題の要件の一つですが、問題文固定のリサイクル問題ではこれが難しく、そもそも評価の俎上に載る(魚だけに)ためのハードルがかなり高いというのが私のイメージです。
【良い点】
本問の場合、新鮮な鰹が池にあるような状況を作り出すことが課題ですが、
そこに「空輸の冷凍鰹が落ちて解凍した」というエレガントな解釈を与えたことは本問の功績でしょう。
【気になった点】
一方、「男が池の側に力なく倒れていて、しかもその手元に鰹がある」ことの解釈は難しく、難航されたのではないでしょうか。そのためか、場所が池であることの意味を省かれているようです。
【提案】
池を使うことを考慮して、こんな解説はどうでしょうか。
「空輸中の冷凍鰹が飛行機から落ち、池にドボン。それを見つけた欲深い男は鰹を手に入れようと池に入り、鰹を引き揚げることにした。しかし鰹は重く、ようやく陸に上がったころには男は疲れ切っており、池に浸かっていた間に鰹はいい感じに解凍していた。」


さるぼぼの鑑定書

【特徴】
時間経過で事象が変化する面白さ。
真相となるシチュエーションの意外性。
【気になった点】
1.最重要FA条件は「空輸の冷凍カツオが一本、飛行機から落下して解凍された」。
この条件は現実的にとても起こりづらいので納得感減少の要因になりえます。
2.確かに遭難者は今すぐには冷凍カツオを食べられないが、一縷の希望にはなるため、絶望まではしない→「力なく」という表現に違和感が生じる。
3.「新鮮」がアンフェア気味(不成立ではない)。
4.タイトルが親切すぎる。
【備考】
1.突飛なFAは面白いがそのぶん納得感を犠牲にするため評価されにくい傾向。
2、3リサイクル問題の難しさ。
4.再考の余地あり。
ただし決して悪問ではないです。
参考になれば幸いです。